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インディビジュアルコンテンツ株式会社 代表ブログ

中小企業の経営者に役立つ記事を書いていきます。

想定外のリスクに対応するためには

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インディビジュアルコンテンツの代表の本藤(ほんどう)です。今回は「想定外のリスクに対応するためには」というテーマでお話しします。前回に続いて、リスクを取り上げます。よろしければ、前回書いたものも、合わせて読んでいただければと思います。
(本稿も、コロナウィルス対応ではなく、一般的な危機対応について論じています)。

 

kikaku1.hatenablog.com

 

1.  ブラック・スワンとは

ブラック・スワン」は、存在しないものの概念として、古くから哲学者に使われてきた言葉です。しかし、オーストラリアで黒い白鳥が発見されたことで、「白鳥は白い」という、これまで当たり前だった前提が、根底から覆されます。「ブラック・スワン」という言葉は、ナシーム・ニコラス・タレブの著書「ブラック・スワン」によって、よく知られるようになりました。タレブは、「ブラック・スワン」の特徴として、以下の3つを挙げています。コロナも、これに当てはまるでしょう。

 

① 起きる可能性が非常に低いこと、異常であり、すべての人にとって、想定外であること
② 「ブラックスワン」が起きると、甚大で深刻な影響があること
③ ひとたび起きると、人間は、その異常さを忘れ、予測可能であったかのように振る舞うこと

 

ブラックスワン」が起こった時の衝撃は、日常で起こる出来事に比べ、とてつもなく影響が大きいので、企業戦略を考える上で、極めて重要と言えます。「そんなことできる訳ない」という声が聞こえてきそうですが、自社にとっての「ブラック・スワン」を想定し、対応を考える方法はあります。以下に紹介します。

 


2. ブラックスワンを考える方法 I ー シナリオプランニング

 

最もよく知られているのは「シナリオプランニング」という方法です(Google等で調べれば、すぐに出てきます)。簡単に言えば「もしもの場合(What if)」を考えることです。考える切り口として、政治(Politics)、経済(Economics)、社会(Society)、テクノロジー(Technology)(頭文字を取って「PEST」という、あるいは環境(Environment)を加えてSTEEPともいう)が、よく使われます。これらの社会的要因について、(例えば「北朝鮮民主化すれば」とか「日本の人口が2割減少すれば」のような)シナリオを想定し、自社にどう波及するかを考えます。

 

シナリオプランニングで最も有名なのは、1970年代初期のシェル石油(現 ロイヤル・ダッチ・シェル)の事例です。同社は、石油価格の長期的なシナリオを予測し、石油価格の高騰を事前に想定することで、その後のオイルショックを乗り切りました。同社は、今も、シナリオプランニングを経営戦略の策定に用いています。

 

将来の予測は、多かれ少なかれ、ほとんどの会社が行っていると思いますが、具体的な対応まで突き詰めて考えているケースは少ないと思います。特に、日本経済が低迷期に入ってから、将来を見据えた意思決定は、格段に難しくなった感があります。また、優良企業ほど、過去の成功体験が、未来を予測する力を鈍らせている面もあると思います。

 

私の経験では、将来の予測に関する議論はうまくいかないことが多いです。予測は、ある程度、データから傾向を分析する必要がありますが、そもそもデータの扱いに慣れている人は少ないです。人間は、過去の経験から未来を予測しようとする傾向が強いため、うまくデータを使えないと、シナリオの構築が偏ったものになりがちです。そういうこともあって、私自身は、この方法はあまりお勧めしません。

 


3. ブラックスワンを考える方法II ー 自社の弱みに着目する

 

もう一つは、自社の「弱み」に着目して改善していく方法で、私が、経営相談等で使っているものです。経営者の方とお話をしていると、自社の「強み」については、とても生き生きとお話をされるのですが、「弱み」となると、はっきりお答えになる方は、あまり多くありません。「強み」は、過去から築き上げたものであり、ある意味、その会社の「現在の姿」です。一方、「弱み」は、これまで、その会社があまり力を入れてこなかったことであり、盲点になっていることが多いのです。しかし、「弱み」が、新規事業や事業拡大を行う上で、ボトルネックになることがよくあります。想定外が起こった時も同じで、問題になるのは、その会社の「弱み」の部分であることが多いのです。


分析手法も、ごくごくシンプルなSWOT分析です(さすがに説明は不要と思います)。ここでは、SWOTのW(weakness: 弱み)とT(脅威: Threat)を使います。WとTが重なると、企業にとって致命的な影響をもたらすことがあります。WとTの組み合わせを考えることで、どのように「弱み」を改善ずべきかも見えてくると思います。この方法は、自社の分析から始めるので、シナリオプランニングよりも、取り組みやすいと思います。

 

 

出典・参考文献

ブラック・スワン」(ナシーム・ニコラス・タレブ著、望月衛訳、ダイヤモンド社)
「シナリオ・プランニング」(ウッディー・ウェイド著、野村恭彦(監訳)、関美和訳、英治出版

危機管理ができている会社は何が違うのか

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インディビジュアルコンテンツの代表の本藤(ほんどう)です。今回は「危機管理ができている会社は何が違うのか」というテーマでお話しします。

 

今、新型コロナウィルスで世の中が大変なことになっています。感染を防ぐためには、人との接触を避けることが必要であり、政府は今、人との接触を8割減らすことを強く呼びかけています。

 

職場において、人との接触を減らすためには、そもそも出社しなくて済むよう、テレワーク等の対応が不可欠です。調査によれば、コロナを期にテレワークの導入が進んだものの、依然として、対応済みの会社は3割弱にとどまっています。対応できている会社とそうでない会社の違いは何でしょうか。

(本稿は、コロナ対応そのものではなく、一般的な危機管理を扱っています)

 

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1.  想定外のことには対処できない

 

まず、危機管理を考える上で大切なことは「想定外のことには対処できない」ということです。テレワークに対応できた会社は、多かれ少なかれ、テレワークを想定し、事前に準備をしていたことと思います。同調査で、テレワークができない理由として、テレワーク制度の未整備、ICT環境の未整備が上位に挙げられています。対応できていない会社は、テレワークの準備を行っておらず、今、想定外の対応を迫られています。

 

そもそも危機対応は「危機が起こらなければ、対応そのものが不要」になります。コストがかかる分、収益や利益を圧迫します。だからといって、何もしなくてよいということではありません。近年、台風のような災害がほぼ毎年発生し、リーマンショックのような世界的な経済危機も経験しています。何も想定していなかったというのは通用しないでしょう。できた会社とできていない会社の差は、近年の状況を自社のリスクとして認識し、その準備ができていたかどうかと言えます。

 

2. スターバックスの事例

 

危機を想定することの大切さについて、スターバックスの事例を紹介します。

 

今では、世界中で高い顧客サービスを実現しているスターバックス。その成長の過程では、出店を加速するため、一度に大量のスタッフを雇用する必要があり、中には、社会的不適合者、いわゆる問題児が含まれることもありました。現場でも、突然感情を爆発させ、顧客と言い争いになるなど、さまざまな問題が発生していました。スターバックスの上層部は、まず現場で何が起こっているか詳しく調べました。するとそこに一つの発見がありました。


それは、変わったことがなければ、問題児であっても、他の店員と変わらない仕事ができていました。しかし、ひとたび予期していないことに直面すると、急に集中力が途切れ、自制心を失う傾向が見られたのです。例えば、お客が怒鳴り始めると、ふだん穏やかな店員が冷静さを失ったり、大勢のお客がイライラし始めると、追い詰められ、突然泣き出すといったことが起きていたのです。


そこで、スターバックスは、社員が厳しい状況に直面した時、どうすればよいかが書かれたマニュアルを作成しました。そこには、顧客が怒鳴り始めたらどうするか、支払いの列がなりすぎたらどうするかなどが、具体的に記されていました。マニュアルを通じて事前に対処の仕方を理解することで、どんな店員も、厳しい状況を乗り越えることができるようになったのです。

 

 

3 . リスクをコントロールする

 

私は、ぶっつけ本番が苦手なので、不安だと思った時、この話を思い出し、事前に準備をするようにしています。もちろん、すべてのリスクを想定することなど不可能です。コロナが、これほど感染が拡大し、これほど大事になるとは、誰一人想定できなかったでしょう。しかし、ここで何も対応しなければ、いざ必要になった時、恐らく何もできないでしょう。

 

コロナに限らず、ビジネスには常にリスクがつきまといます。リスクを想定することが、リスクをコントロールすることに繋がります。リスクを想定し、社内や職場を改めて見渡すと、どのような対処が必要かも見えてくると思います。

 


出典:


テレワークの普及率:パーソル総合研究所HP https://rc.persol-group.co.jp/news/
202004170001.html
スターバックスの事例:「習慣の力」(チャールズ・デュヒッグ著、渡会圭子訳 講談社)

人手不足や働き方改革にどう取り組むか

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インディビジュアルコンテンツの代表の本藤(ほんどう)です。

今回は「人手不足や働き方改革にどう取り組むか」というテーマでお話しします。


多くの中小企業は、今、相反する2つの課題に直面しています。一つは「人手不足」、もう一つは「働き方改革」です。

人手不足」は、多くの業種で深刻です。サービス業では、外国人の就労が、既にあたりまえです。どの業種においても、人材の確保のためには、これまでとは違った人材を受け入れる必要があります。


また、「働き方改革」において「ワークライフバランス」が求められています。企業は、「人手不足」に対処しつつ、同時に、出産・育児・介護に伴う離職、残業の抑制等も実現しなければなりません。

 

残念ながら、対処には「できること」と「できないこと」があります。それも踏まえて、貴社の取組みのヒントになることを紹介します。


1.「できないこと」とは

現時点の直近(2018年8月)の有効有人倍率は、「約1.6倍」です。これは、全求人ですから、製造、建設、サービス、運輸等の業種では、ゆうに2倍を超えています。人手不足は、ここ数年、ますます深刻化しています。「何とかならないのか」と思うところですが、私たちの力の及ばないものです。


また、人手不足を受けて「生産性を上げなければならない」と言われています。生産性については、後ほど触れますが、いきなり、社員に「アウトプットを2倍にせよ」と求めても、それは無理というものです。また、社員が、出産や育児等で離職したり、病気で欠席したりするのも、基本的にコントロールできません。


2.なぜ「働き方改革」なのか

本年(2018年)6月に「働き方改革法案」が成立し、有給休暇の時季の指定等は、中小企業においても、来年4月から対応が必要になります。法対応はともかく、ワークライフバランスにせよ、残業抑制にせよ、昔から言われていたことです。それがなぜ今、企業に求められるようになったのでしょうか。


働き方改革」の背景には、かつて起こった社会問題があります。例えば「同一労働同一賃金」は、正社員の非正規社員の賃金格差の問題、「長残業時間」は、女性の社会進出の増加を受け、インフラの未整備等に不満が高まりました。これらが、政治課題となり、法案として成立したのが今、折しも「人手不足」の時だったということではないかと思います。しかし、今は、掛け声だけではない「真の働き方改革」が求められています。


3.社員を大切にする

社員を大切にする

これは、その気になれば、誰でも「できること」です。

人手不足の中で、働き手を見つけることは、とても大変です。だからこそ、今いる社員を大切にし、「社員がやめない会社」を目指すことは、理にかなっています。

 

「日本で一番大切にしたい会社」で知られる坂本光司先生は、企業経営の使命を「人の幸せを追求・実現すること」と定義し、中でも、一番大切にしなければならないのは「社員とその家族」としています。「社員とその家族」が、商品・サービスを提供することで、はじめて、顧客に幸せをもたらすことができるからです。そして、坂本先生によれば、「人を大切にする会社」は、不況や環境変化に左右されず、長期に渡り好業績を挙げているとのことです(注1)

 

また、Google社は、2012年から約4年に渡り、「生産性向上のための労働改革プロジェクト」を実施し、チームの生産性を高めるための重要な要素を突き止めました。そもそも、グーグルは「成功するためには世界で最高の人材を集めることが大切」と考えていた会社であり、実際、世界中から天才が集まります。しかし、グーグルが、たどり着いた結論は、チームの生産性向上のために最も大切なものは心理的安全性」である、ということでした。

 

心理的安全性」とは、「他人の反応におびえたり、羞恥心を感じることなく、自分の考えや感情をさらけ出すことができる環境・雰囲気」を指します。本来の自分の姿で仕事に向かうことが、高い生産性につながるのです。また、グーグルは、「生産性の高いチーム」の共通点は、「一部の人が発言を独占することなく、全ての人に均等に発言機会がある」「相手の表情や言動から相手の本心を読み取る力が高い」の2点であることも、このプロジェクトを通じて、発見しました(注2)

 

4.まとめ

今後、少子高齢化が進むと、労働力不足はますます深刻となります。一口に「社員を大切にする」といっても、一朝一夕には難しいものです。しかし、過去の成長モデルが通用しない今、社員のポテンシャルに期待することは、あながち間違った方向ではないと思います。
「社員を大切にする」ことに、即効性はないかもしれません。しかし、私たち一人の力では、企業を取り巻く環境を変えることができない以上、私たちが取り得る、もっとも確実な選択肢の一つであると言えると思います。

 

(注1)坂本光司先生の著作には「日本で一番大切にしたい会社1~6」(あさ出版)などがあります。
(注2)グーグルの労働改革プロジェクト(Project Aristotle)は、いろいろなところで引用されていますが、その元は以下のサイト(英語)です
https://rework.withgoogle.com/blog/five-keys-to-a-successful-google-team/

 

事業承継を進めるためには

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インディビジュアルコンテンツの代表の本藤(ほんどう)です。


今回は「事業承継を進めるためには」というテーマでお話しします。


事業承継は、多くの中小企業にとって課題です。政府も、後継者難による廃業の増加に危機感を募らせています。今年度(平成30年度)改正された「事業承継税制」は、かなり踏み込んだ内容になっています。


しかし、事業承継への取組みが進んでいるかというと、それほどでもないと思われます。政府や私たち支援者と経営者の間には、何か意識の相違があるような気がします。

 

1. なぜ事業承継が進まないのか

  私が考える「中小企業の事業承継が進まない主な理由」は以下のとおりです。


① 中小企業の多くは「家業」である

 中小企業の社長は、創業家から会社を受け継いだオーナー社長が多いと思います。「中小企業が家業である」とは、会社は「家族の生計を立てるための手段」であり、「経営が世襲的に継承される」という特色を指します。

 

「家業」の特徴の一つは、「収入に対する考え方」にあります。「家業」は「働いて稼ぐ」と考えます。このため、「事業が収入を得ることに集中する」傾向があります。例えば、製造業であれば「作ること」に集中します。このため、「作ること」以外のことは、社長以外にできる人がいないことが多いのです。

 

もう一つは、経営について「人材育成がほとんど行われないこと」です。家業は、経営が、親から子に引き継がれます。子ではない従業員に経営を引き継ぐ考えが、そもそも起こりにくいのです。

 

もちろん「家業」的な経営には、よい側面もあります。しかし、事業承継について言えば、血縁関係の中に後継者がいなければ、家業の事業承継は実質的に不可能です。


② 人間は自分の「老い」を知ることができない

 もう一つは、「認知的バイアス」によるものです。誰でも、自分が今何歳か知っているし、毎日、鏡で自分の顔を見ます。しかし、病気になってはじめて、自分の健康状態がわかるように、「老い」を自覚することができないのです。自分だけは「まだ大丈夫」と思っているのです。このため、事業承継についても「まだ自分には関係ない」と思いがちで、対応が後手に回るのです。

 


2.どうすれば事業承継を進めることができるか

 ① 事業承継を進める最初の質問

 「適切なタイミングで事業承継対策を講じなかったため廃業せざるを得なかった

このような事態が増えています。政府が、事業承継対策を急ぐのは、このためです。専門家の育成も着々と進められています。

 

しかし、専門家向けの手引書を見ると、最初に確認すべきことは、

後継者は決まっていますか?

となっています。

 しかし、多くの経営者が悩んでいるのは後継者がいない」ことです。そこをあえて「後継者は決まっていますか?」と聞くのは、間抜けな気がします。

 

 私は、最初に行うべき質問は、

会社を引き継ぎたいですか?

だと思います。

 事業承継を行うかどうかは、社長が決めることです。事業承継への取組みが進んでいないのは確かに問題ですが、社長がその気にならない限り、事業承継を進めることはできません

 

② 事業承継を進める次のステップ

 「会社を引き継ぎたいですか?」と質問しても、次に「後継者問題」を解決する必要があります。しかし「引き継ぐ意志」が明確であれば、やる方法はあります。

 

「家業」の対義語は「企業」です。企業は「ゴーイング・コンサーン」、つまり「存続が前提」です。企業が存続するためには、経営者交代が必ず起こります

 

そして、「企業の経営者に求められる資質や経験」は、大体分かっています。準備期間があれば、既存人材を育成したり、よそから連れて来るなどして後継者を作ることもできます。今の事業を、より魅力的なものにして、引き継ぎやすい会社に変えることも、できなくありません。支援者を活用すれば、これらを効率的に進めることができます。

 

では、誰に支援を依頼するのがよいか。手前味噌ですが、私は「中小企業診断士」が一番だと思います。診断士であれば、無理のない中長期的な承継計画を作ることも、社長の考えに耳を傾けることも、同時にできるからです。

 

これまでの「事業承継」のノウハウは、相続や節税対策等、ほとんどが「家業としての承継」に関するものです。これらは、税や法律の知識が必要であり、どのみち税理士や弁護士に依頼する必要があります。しかし、「後継者不足」の問題は、「家業としての承継」のノウハウだけでは解決できないと思います。 

スマイルカーブから見た中小企業の事業転換

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インディビジュアルコンテンツの代表の本藤(ほんどう)です。 
 
今回は「スマイルカーブから見た中小企業の事業転換」というテーマでお話しします。
  
2018年10月16日(執筆時前日)の日本経済新聞に「後継者難の中小の情報、外資に開放 廃業防止へ経産省 」という記事が載りました。
 
タイトルのとおり、中小企業の事業承継を進めるため、海外にデータ開放するという内容の記事です。これでは、後継者難の中小企業は「売れ残ったクリスマスケーキ」と言わんばかりです。
 
次回、事業承継を採り上げますが、その前に、このテーマに触れておきたい思います。事業承継を考える上でも、参考になるでしょう。
 
 
1.スマイルカーブとは
 
「スマイルカーブ」とは何でしょうか。下図のとおり、川上、川下に比べて、川中(製造・組立)の付加価値が低くなる現象のことです。
 
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川中の付加価値が低くなる理由は主に二つ、一つは「技術の進歩」、もう一つは「新興国への生産シフト」です。
 
組立や製造工程は、人手から機械に置き換わると技術移転が容易になります。企業間で競争原理が働くと、生産技術によって生み出された付加価値は、容易に価格転嫁されてしまいます。これが「技術進歩」が付加価値を下げる理由です。
 
新興国への生産シフト」ですが、労働集約的な作業が工賃の安い新興国へシフトすることが原因です。
 
 
スマイルカーブの反対は「アングリーカーブ」と呼ばれます。
 
スマイルカーブとは逆で「製造・組立」の付加価値が最も高くなる状態を表します。
 
「アングリーカーブ」は、新興国にしか起こらない現象です。新興国は、川上や川下で付加価値を生み出す力がついておらず、川中で付加価値を生み出すしかないのです。
 
先進国になるためには、必ず「工業化」を通ります。
日本の高度成長期も「アングリーカーブ」の元でもたらされたのです。
 
 
2.中小企業の事業転換の方向
 
「スマイルカーブ」は、そっくりそのまま、企業の事業構造にあてはめることができます。
 
川上・川中・川下」を「開発・製造・販売」と読み替えればよいのです。
お気づきと思いますが、多くの中小企業は、依然として「アングリーカーブ」型の事業構造です。
 
中小企業の事業転換の方向性は、「スマイルカーブ」をもとに考えることができます。
その方向は、川上や川下に事業をシフトするか、川中の技術力を引き上げるか、いずれかとなります。これをまとめたものが下図です。
 

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①は、日本の電機メーカーが、川上分野の機能・技術力を高め、付加価値の高い製品を生み出そうとしたことが、記憶に新しいと思います。「ガラパゴス化」と揶揄されました。
 
日本がデフレの真っ只中だったことや、購買意欲の高い中国やアジア地域が、日本製品を買い求める所得水準に達していなかったこと等が、うまくいかなかった要因ですが、高機能化・高級化へのニーズは必ず存在します。
 
②は、他の追随を許さないレベルに専門性を高め、川中で生き続ける選択肢です。
 
③の顧客価値については、前回まで「下請中小企業が自社ブランドを構築する方法」として述べてきましたので、参考にしてください。
どの方向に進むにしても、新しい知識や経験新しいものの見方が必要になります。事業承継は、今後の事業展開を見直すよい機会と言えます。
 
これまで日本経済を支えてきた日本の中小企業を、安易に外資に承継させることに、私個人は反対です。ただ、企業を存続させるために、企業自身が変わっていかなければならないことは確かです。

 

下請中小企業が自社ブランドを構築する方法(3)

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インディビジュアルコンテンツの本藤(ほんどう)です。
 
今回は「下請中小企業が自社ブランドを構築する方法」の最終回、「自社ブランド構築時の社内体制」についてお話しします。
 
 
1.時間と収益の関係
 
早速ですが、自社ブランド型ビジネスの時間と収益の関係は、下図のとおりです。
 
 

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この図は、最初は赤字だが、その後の取組みの結果、時間の経過とともに収益が増加することを表しています。アイスホッケーのスティックに形が似ていることから、「ホッケースティック型曲線」と呼ばれています。
 
ここで覚えておいていただきたいのは、
 
どんなビジネスでも、最初は赤字である
 
ということです。そして、
 
赤字」は「将来への投資」を意味します。
 
しかし、図のように、必ず右肩上がりの収益増加となるわけではありません。収益増加になるかどうかは、投資をうまく行えるかどうかにかかっています。
 
 
2.見込生産と受注生産
 
下請型ビジネスは、通常「受注生産」です。
「受注生産」は「受注が先、生産が後」です。先に売上が決まるため、無駄のない効率的な生産が可能となります。これは、下請型ビジネスの最大のメリットと言えます。
 
一方、自社ブランド型ビジネスは、「見込生産」となります。
「見込生産」は「生産が先、販売が後」となります。つまり、売上の前に支払いが発生することになります。
 
こうお話しすると
「あっ、ホッケースティック型曲線と同じだ」
と思った方がいるかもしれません。しかし、残念ながら誤りです。
 
売上の前にコストが発生する」というのは、自社ブランド立ち上げ時に、最も注意が必要で、コントロールが難しいものです。次に述べますが、このコストはできるだけ小さくしなければなりません。
 
 
3.自社ブランドが失敗する原因
 
自社ブランドの最大の失敗原因は「作り過ぎ」です。
 
見込生産である以上、在庫は必要です。しかし、「作り過ぎ」によって生まれるのは「過剰在庫」です。「過剰在庫」は、「期日のない手形」のようなものです。いつ、現金になるかもわからなければ、換金できる保証もありません。
 
また、第一回でもお話ししたとおり、実績や知名度のない段階で、売上を上げるのは、とても難しいのです。
 
「自社ブランド構築のための社内体制」とは、「作りすぎを起こさないための体制」といっても過言ではありません。
 
 
4.自社ブランド構築時の組織体制
 
自社ブランド構築時の組織体制をまとめると、以下のようになります。
 
 

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営業は、過剰在庫を作らないよう、高い販売目標よりも、確実な販売見込みを行うことの方が重要です。各部門の活動は、この販売見込みに合わせます。
 
ほとんどの場合、ホッケースティック型曲線のとおり、最初は赤字になると思います。大切なのは、「赤字をいかに早く切り抜けるか」です。
 
 
5. 何に投資するのか
 
では、冒頭に述べた「将来への投資」とは、何に投資すればよいのでしょうか。
 
一つは、「人材やノウハウの取得」です。マーケティング、販路開拓、製品開発、事業計画の策定等のノウハウを得るためには、専門家の活用、これらのノウハウをもった人材の採用、育成が必要です。このために発生する費用です。
 
もう一つは、「テストマーケティング」です。前回お話ししたとおり、モック品を作り、ターゲット顧客に直接聞くことが、売れる製品を作る近道であり、そのためにかかる時間と費用等を指します。
 
逆に避けなければならないのは「過剰在庫」と「過剰な設備投資」です。
設備投資についてですが、当初は、できるだけ既存のものを用い、収支の見通しが立った時点で行うべきです。
 
 
自社ブランド型ビジネスには、確かにリスクがあります。しかし、発注元の意向を気にしつつ、下請型ビジネスを続けることも、ある意味リスクです。
 
自社ブランドを目指す方にとって、参考になれば幸いです。
 

下請中小企業が自社ブランドを構築する方法(2)

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インディビジュアルコンテンツの代表の本藤(ほんどう)です。
 
今回も「下請中小企業が自社ブランドを構築する方法」についてお話しします。今回、取り上げるテーマは、「自社ブランド構築時のマーケティング」についてです。
 
 
早速ですが、押さえるべきマーケティングのポイントを紹介していきます。
 
 
1.小さな市場を狙う
 
中小企業にとって、いきなり大きな市場で競合に立ち向かうことは、容易ではありません。狙うべき市場は、ずばり「小さな市場」です。「小さな市場」とは、「競合が魅力を感じず、参入しないような市場」を指します。
 
「小さな市場」を狙う主な理由は、以下の3点です。
 
① 自社ブランドの経験と実績を積む
 
市場で競合すれば、認知度や実績のないあなたの方が、不利になる可能性が高いです。自社ブランドの最初のステップとしては、小さな市場で実績と経験を積む方が得策です。大きな市場を目指すのは、力をつけてからでも遅くはないでしょう。
 
② プロモーションの費用が少なく済む
 
「小さな市場」のメリットは、あなたの製品の優れている点が伝わりやすいことです。また、プロモーション費用も少なくてすみます。また、製品のよさが認められれば、競合が存在しないため、市場全体でのあなたの評判が高まります。
 
③ リピート率を高めることで売上が安定 
 
市場であなたの評判が高まれば、顧客の注目を集めやすくなり、新製品の販売等がしやすくなります。自社ブランドにおいて、最も難しいのは、新しい顧客を獲得することです。新製品の販売にあたり、購入実績のある顧客のリピート率を高めることで、安定した売上を確保することができます。
 
 
2.ターゲット顧客に直接ニーズを聞く
 
売れる製品を作るためには、その市場の顧客ニーズを把握することが必要です。そのためには、ターゲット顧客のニーズを直接聞くことが、シンプルかつ確実な方法です。
 
注意すべき点がいくつかあります。
 
一つは、モック品を用意することです。顧客に、あなたの製品を利用するシーンを再現してもらうことで、顧客の隠れたニーズが見つかる可能性が高まります。
 
もう一つは、複数のユーザーに話を聞くことです。ある顧客ニーズが個人的なものか市場に共通したものか見極めるためには、まとまった人数のターゲット顧客に話を聞くことが必要です。
 
 
3.販売提携先をパートナーにする
 
下請中小企業の多くは、自社製品の販売経験があまりないと思います。このため、当初は、代理店や卸を用いた方が効率的なケースもあります。この販売提携先の選択は、極めて重要です。規模の大きい先や条件面の厳しい先は、最初のパートナーとしては、避けた方がよいでしょう。
 
提携先選択のポイントは「あなたの製品に惚れ込み、顧客開拓に協力してくれるかどうか」です。あなたと二人三脚で顧客開拓に取組み、パートナーとして、あなたにいろいろなアドバイスしてくれる相手が理想的です。
 
 
次回は、自社ブランド構築時の社内体制について説明します。