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下請中小企業が自社ブランドを構築する方法(3)

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インディビジュアルコンテンツの本藤(ほんどう)です。
 
今回は「下請中小企業が自社ブランドを構築する方法」の最終回、「自社ブランド構築時の社内体制」についてお話しします。
 
 
1.時間と収益の関係
 
早速ですが、自社ブランド型ビジネスの時間と収益の関係は、下図のとおりです。
 
 

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この図は、最初は赤字だが、その後の取組みの結果、時間の経過とともに収益が増加することを表しています。アイスホッケーのスティックに形が似ていることから、「ホッケースティック型曲線」と呼ばれています。
 
ここで覚えておいていただきたいのは、
 
どんなビジネスでも、最初は赤字である
 
ということです。そして、
 
赤字」は「将来への投資」を意味します。
 
しかし、図のように、必ず右肩上がりの収益増加となるわけではありません。収益増加になるかどうかは、投資をうまく行えるかどうかにかかっています。
 
 
2.見込生産と受注生産
 
下請型ビジネスは、通常「受注生産」です。
「受注生産」は「受注が先、生産が後」です。先に売上が決まるため、無駄のない効率的な生産が可能となります。これは、下請型ビジネスの最大のメリットと言えます。
 
一方、自社ブランド型ビジネスは、「見込生産」となります。
「見込生産」は「生産が先、販売が後」となります。つまり、売上の前に支払いが発生することになります。
 
こうお話しすると
「あっ、ホッケースティック型曲線と同じだ」
と思った方がいるかもしれません。しかし、残念ながら誤りです。
 
売上の前にコストが発生する」というのは、自社ブランド立ち上げ時に、最も注意が必要で、コントロールが難しいものです。次に述べますが、このコストはできるだけ小さくしなければなりません。
 
 
3.自社ブランドが失敗する原因
 
自社ブランドの最大の失敗原因は「作り過ぎ」です。
 
見込生産である以上、在庫は必要です。しかし、「作り過ぎ」によって生まれるのは「過剰在庫」です。「過剰在庫」は、「期日のない手形」のようなものです。いつ、現金になるかもわからなければ、換金できる保証もありません。
 
また、第一回でもお話ししたとおり、実績や知名度のない段階で、売上を上げるのは、とても難しいのです。
 
「自社ブランド構築のための社内体制」とは、「作りすぎを起こさないための体制」といっても過言ではありません。
 
 
4.自社ブランド構築時の組織体制
 
自社ブランド構築時の組織体制をまとめると、以下のようになります。
 
 

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営業は、過剰在庫を作らないよう、高い販売目標よりも、確実な販売見込みを行うことの方が重要です。各部門の活動は、この販売見込みに合わせます。
 
ほとんどの場合、ホッケースティック型曲線のとおり、最初は赤字になると思います。大切なのは、「赤字をいかに早く切り抜けるか」です。
 
 
5. 何に投資するのか
 
では、冒頭に述べた「将来への投資」とは、何に投資すればよいのでしょうか。
 
一つは、「人材やノウハウの取得」です。マーケティング、販路開拓、製品開発、事業計画の策定等のノウハウを得るためには、専門家の活用、これらのノウハウをもった人材の採用、育成が必要です。このために発生する費用です。
 
もう一つは、「テストマーケティング」です。前回お話ししたとおり、モック品を作り、ターゲット顧客に直接聞くことが、売れる製品を作る近道であり、そのためにかかる時間と費用等を指します。
 
逆に避けなければならないのは「過剰在庫」と「過剰な設備投資」です。
設備投資についてですが、当初は、できるだけ既存のものを用い、収支の見通しが立った時点で行うべきです。
 
 
自社ブランド型ビジネスには、確かにリスクがあります。しかし、発注元の意向を気にしつつ、下請型ビジネスを続けることも、ある意味リスクです。
 
自社ブランドを目指す方にとって、参考になれば幸いです。